コラム

コラム2017年04月「5ページ」

 平成29年春、ついに江別すずらん病院は丸五年を終え六年目に突入した。今年もまた航海日誌の5ページ目に記されたことを振り返ろう。そうだな、今回は特にデイケアを中心に読み解いてみようか。
 デイケアとは患者さんが日中の一定時間をメンバーやスタッフと一緒に過ごし、そこでの活動や食事を通して精神的にも身体的にも回復していく治療法だ。デイサービスと名称が似ているので混同している人も多いが、そちらは介護サービス。デイケアは医療のサービスであり、外科における手術や内科における点滴と同様に、精神科におけるれっきとした治療行為である。
 当法人におけるデイケアは病院が美唄にあった頃から行なわれているが、その内容は時代とともに変化を遂げてきた。

 まずは法人の母体である江別すずらん病院から。一年前にデイケアセンターが併設され、認知症デイケアが指導。高齢の患者さんのデイケアニーズにも応えていける形となり、センターのスタッフだけでなく事務部長や戦略部長まで利用者の送迎に奔走する日々となった。もちろん従来の精神科デイケアも負けてはいない。札幌なかまの杜クリニックからもゲストを招き、当事者研究など近年注目されている新たな要素をプログラムに次々と取り入れた。それによりプログラムのバリエイションが大幅に増えている。

 ではサテライトの美唄すずらんクリニックはどうか。青年層を対象とした就労支援プログラム『心学塾』を開始。患者さんのご家族も招いて一緒にプログラムを体験するデイケア家族会も年二回行なわれた。そして江別に負けるなと言わんばかりに、音楽療法士・ピラティスコーチ・看護学校の学生さんなどのゲストを招いてのプログラムも取り入れた。

 しかしなんといっても平成28年度に最も大きな変化を遂げたのは北広島メンタルクリニックであろう。場所を駅前に移転し敷地を拡大、念願のデイケアも始まった。そう、ここに法人に所属する三病院でのデイケアグランドスラムがなされたのである。

 何を大げさなと思われるかもしれない。自画自賛に聞こえるかもしれない。もちろん問題も過大もまだまだ山積みである。ただデイケアの実働部隊はドクターではなくコメディカルスタッフだ。つまりデイケア充実の功労者は現場のコメディカルなのだ。6階の医局にふんぞり返っている方々ではなく、平成28年度は現場のみんなに感謝とエールを贈らねばなるまい。

 理事長は語る…「昨年と同じことをしていてはいけない」と。ただの継続ではなく、立ち上げたものは発展させ、発展したものは飛躍させ、役目を終えたものは眠らせ、眠らせたくないものはまた全力で立ち上がらせなければいけないのだ。そのためには変化を厭わない勇気、努力を惜しまない覚悟、既成概念に縛られない魂が必要なのだ。

 風のすずらん会は一隻の母船と二艘の舟。目の前の波は毎年変わる。今に甘んじることなくトランスフォームをくり返していこう。下船した仲間に手を振って、新たに乗船した仲間と手を取り合って、旅を続けていこう。

 今月からまた書き込まれていく航海日誌の6ページ目。すでに新プロジェクトも動き出しているらしい。それは第三の…。
 お伝えするのはまた来年のお楽しみということで。

(文:クルー)

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